MNS26の皆さん 神戸新聞を見た 2022年3月24日三木版です。


 
 

お気に入りの作品を手にする八木義明さん=三木市役所

 

写真愛好家の八木義明さん(73)=兵庫県三木市=が同県や県内の市町が開く全35の公募美術展で入選・入賞を果たした。退職後に本格的にカメラを始め、5年がかりで「全県制覇」を達成。努力を重ねて目標を遂げ、「『樹海』から抜け出したよう。次はトップを狙いたい」と喜ぶ。(小野萌海)
元々、子どもの成長記録などでカメラを使っていたが、本格的に作品として写真を撮り始めたのは退職後の2014年。三木市高齢者大学の写真クラブに入り、当時講師だった写真家の山本治之さん(74)に基礎から教わった

10日間の東北での撮影旅行にも同行。雨上がりのブナ林で霧が出るのを待ったり、寝転がって撮ったり。山本さんのノウハウを吸収し、目線が変わった。この経験が撮影スタイルの原点という。 17年、山本さんの提案を受け、県内全公募展での入選・入賞を目標に掲げた。
 初の受賞作は、神戸市展に出した「ヒカリモの輝き」。伽耶院の堀で、光を反射し虹色に輝くヒカリモと、雪解け水がつくる水面の波紋にシャッターを切った。最難関とされる県展では、鍵が掛かった旧海軍倉庫の扉を写した「時空の防人(さきもり)」が入選した。 最初は順調だったが、入選できない時期もあった。自信作を出しても、自然風景やスナップ、造形的な写真など、審査員の好みによって選外になることも多々。しかし八木さんは、審査員の傾向を踏まえて作品を練り、粘り強く応募し続けた。
 最後にクリアしたのは今年3月の芦屋市展。雪に縁取られた篠山城の石垣を収めた「慕城」が入賞した。戦前の代表的な写真家の名を冠した「中山岩太賞」に選ばれ、八木さんは「最後の最後にもらえてうれしい」と笑みをこぼす。
 公募展35のうち、入選が約8割、入賞が約2割。八木さんは「審査員に合わせていろんなジャンルを撮ったことが、自分のレベルアップになった」と手応えを感じる。今後は各公募展の最優秀や全国展にも挑戦したいといい、「写っているものの奥まで見せられるような写真が撮りたい。写真は自分が感動したことや残したいものを記録する『写心』で、見る人と感動を共有できたら最高」と、尽きない情熱でレンズを構える。